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2014年 3月号（308号）
むさゝびの声
（H・良仁） |
●2月25日（火）晴れ 9:30am～
2月14、15日の大雪は都心で27cm、八王子観測所50cm、秩父98cm、甲府114cmと報じられた。国道20号の道路両脇にはまだ大量の残雪が積まれている。小仏関所跡の紅白の梅は五分咲き程度だったが、清明園前の梅林は先月31日の時と変わらず、やや赤みを増した程度。橋梁下の公園工事も中旬の完成が大幅に遅れていた。 蛇滝コース入り口から50m辺りまで小型シャベルカーが降雪後10日を経てようやく除雪を開始した。その先は杉が倒木し、大量の小枝が散乱している。 林道は膝までの残雪に一歩ずつの歩行となる。スパッツは全然役に立たない。アイゼン、かんじきの着用が必要だった。登山靴の中がすぐにびしょ濡れに。斜面の木立が少ない所は滑り落ちた雪が深さを増している。 「引き返す勇気」はなく、初の深雪行を楽しんだが、林道から山道に入るとさらに深い雪にはまり、途中何度か躊躇した。無風と気温の上昇は助かったが、頭上の斜面には大量の積雪場所があり雪崩を恐れ何度も上を見た。 通常なら30分で着く金比羅台まで2時間を要した。途中、今まで気付かなかったアラカシ？ の倒木更新を見つける。 除雪された1号路に今日は高校生が多く賑やかに登ってくる。陽当たりのいい斜面にタチツボスミレが2ヵ所で咲き出した。 布流滝の水量調査場所は大量の雪に埋もれ測定できず。斜面を登った水場の観測も今日は断念する。 1号路 → 6号路 → 前の沢周辺 1号路入り口の薬王院の駐輪場屋根が倒壊寸前。 ケーブルカーは巻き上げ機の工事で4月までストップしている。訪れた観光客はがっかりしていた。リフトは怖いそうだ。
保養院までのコンクリート道路は除雪されていたが、6号路は登山者の歩いた細い足跡道だけ。 妙音橋に一軒だけある民家のご婦人が雪を片付けていたので今回の降雪について聞く。保養院病院施設用に6,000ボルトの電流が流れており、電線に枝が重なり断線するのが一番怖かったという。降雪後2日間孤立し、病院も食料が不足したという。「最初の雪は40cm、2度目は1m近く。こんな雪は初めてで出来るなら他所に住みたい」と話す。45年ぶりの豪雪だが、世界的な異常気象に今後も大雪が多発するのではとも語る。 妙音谷の湧水：10.5リットル/分。Ａさんが2月4日に測定したときは1時間待って1滴。その直後から10mmの降雨があり涸渇を免れた。そして二度の大雪。この間は分担している調査をパス。 祠も測定不能状態が続いていたが今日は2.6リットル/分。折れた杉が引っかかっている。6号路の杉の倒木が一番多かった。 本日は南浅川行きをパス。高尾山口駅前に小型のボーリングが行われていた。ガードマンに聞くと「地質調査」とだけ伝えた。駅裏の温泉ボーリングは大幅に遅れて成功が疑問視されているが関連調査だと思える…。 |
金比羅山遺跡と浅川地下壕（２）
中島飛行機浅川地下工場ロ地区壕
浅川地下壕は当初陸軍浅川地下倉庫工事として1944（昭和19）年9月に開始され、11月にアメリカ軍の爆撃を受けた中島飛行機武蔵製作所（武蔵野市）の疎開地下秘密工場として工事が続けられました。東高尾山稜地下のイ地区、金比羅山のロ地区、初沢山北西のハ地区に分かれています。イ地区壕は軍用飛行機の発動機を製作する工場として使われ、戦闘機隼のエンジン10台が完成しました。
ロ地区壕のうち三和団地の地下（1-7番坑と3段のG坑）は、八王子市防災課が壕内部を胃カメラ方式で観察したのち埋め戻されています。しかし金比羅山東部地下の本坑と連絡坑（8-15番坑）は坑口の大部分は埋まっていますが、現存しています。壕内はかまぼこ形の素掘り断面でダイナマイト発破工法で掘削され、トロッコの枕木跡、セメントで被覆された測量杭が所々にみられ、戦後に捨てられたごみが放置されています。 坑内調査では歯車を見つけており、ロ地区は掘削途中だけではなく、部品倉庫としても使われていたことを示しています。浅川地下壕の保存をすすめる会は2002年に現存する地下壕の内部見取り図調査をしていますが、内部の詳細調査はまだ行われていません。詳細発掘調査をすれば、地下壕遺構や工場として使用された遺構痕跡、枕木・犬釘・カスガイなどの遺物が見つかり、近代遺跡として文化財保護行政の対象にしていく必要があります。
これまで金比羅斜面緑地の調査・保存・活用にあたってきた高尾・浅川の自然を守る会と浅川地下壕の保存をすすめる会は、10月以降数回にわたって合同役員会を開き、金比羅山の開発問題の対策検討を行いました。その結果、11月22日、金比羅山遺跡・浅川地下壕の文化財保護に絞って、2団体は八王子市教育委員会教育長へ面会し、「金比羅山の文化財保護についての陳情書」を提出し、業者への行政指導を要請しました。12月からは、「金比羅山が再び開発の危機」と題したチラシを金比羅山周辺の家々や各民主団体に配付するとともに、公正な判決を求める裁判所宛の要請署名を広げました。 これまで東京地裁立川支部で、3回の弁論準備（本裁判前の準備段階）が開かれましたが、提訴した三和土木側の代理人は一度も顔を出さず、裁判長が電話で原告側代理人に神社境内地図の提出を求める始末でした。2014年1月31日には、寄せられた3,090筆の公正判決を求める裁判所宛の要請署名も提出しました。 2014年1月24日には、浅川市民センターで、「金比羅山の自然と遺跡を守る集い」が持たれ、74名の市民が集まりました。集いでは、金比羅山開発問題の経過、金比羅山の自然と里山の価値、金刀比羅神社と講のあらまし、中世･近代の遺跡の歴史的価値、訴訟の現状、金比羅山のビデオなどが上映され、現状と課題を学びました。 また現地で市と開発業者の立ち合いがあり、2月に入って市側と開発業者との協議が積み重ねられ、2月中旬には業者との買い取り協議がまとまり、この土地の公有地化保存と買収が内定したのです。 八王子市は金比羅緑地に指定された59,847.5平方mを、2013年度2月補正予算土地取得事業特別会計で4億9千万円を計上し、3月7日市議会承認を経て業者から買収し、今年度末までに市有地となる見込みです。 開発業者が撤退し金比羅緑地が公有地化されることができたのは、浅川金刀比羅神社の退去が障害となり訴訟も時間がかかること、金比羅山遺跡の保護と調査が必要とされたことなど、いくつもの要因が考えられますが、何よりも市民運動の力、貴重な緑地を保全しようとする八王子市の粘り強い努力によって実現できたものと思います。 2月28日の市議会で石森市長は、「貴重な緑地保全のため、市民の期待に応えた」とし、訴訟の取り下げ、市有地看板などを設けること、金刀比羅神社と土地譲渡または貸与の手続きに入ることを明らかにしました。「環境保全課、教育委員会、市議会をはじめとした関係各位の皆さまのご努力に厚く感謝します。 八王子の緑地保全のシンボルである金比羅山の保護・活用についてはたくさんの課題がありますが、環境保存の素晴らしい成果を喜びたいと思います。
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私たちは、昨年11月30日に訴訟団を結成し、本年1月29日に、事業認可取消を求める訴訟を東京地裁に提起いたしました。この道路建設計画は、1962（昭和37）年に突如発表され、50年後の2013（平成25）年7月30日に事業認可されました。
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この道路の住民投票が投票率50%以下の理由で開票もされなかったことに心を痛めていましたが、事業認可取消訴訟を行うことにしたのですね。健闘をお祈りします。 |
１ 勤務者の請求認容と夜間騒音の評価で前進
とする判断を示した。
また、1審判決では、沿道住民の夜間騒音の受忍限度基準として、室内での等価騒音レベル（Leq）で45dBを受忍限度の基準値とした。しかし、控訴審判決は、
とし、1審判決の基準を5dB引き下げ、室内騒音レベルで40dBを受忍限度の基準値とした。また、
とし、昼間屋外値の基準を超える勤務者を含む原告らに対し、損害賠償を認容した。
２ １審判決よりも後退した部分
とした。
として、いずれの差止請求とも棄却した。
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2014年 2月号（307号）
むさゝびの声
（H・良仁） |
◇ 想いを共有した出版記念会
岩波ブックレット「守られなかった奇跡の山」はわずか72ページのうすい本です。 ◇ メッセージ
岩波ブックレット『守られなかった奇跡の山』の刊行おめでとうございます。表紙の緑を基調とした写真入りのデザインが新鮮で魅力的です。
◇ 書 評
昨年12月『守られなかった奇跡の山 高尾山から公共事業を問う』という888冊目の岩波ブックレットが出版された。高尾山の自然をまもる市民の会編で72ページのコンパクトな本である。 ◇ 繋がって繋がって、未来人へ
ブックレットの扉を開けると美しいカラー写真、高尾山の春夏秋冬のいのち――吸い込まれそうになりながら、私の脳裏に、ある場面が蘇って参りました。 ◇ 裁判に参加したことで詐欺を見抜く 『守られなかった軌跡の山』をお送りいただきありがとうございました。お礼が遅くなってしまいました。 |
金比羅山遺跡と浅川地下壕（１）
浅川金比羅神社の歴史
金比羅山（金毘羅山、金刀比羅山）は八王子市の南西部、高尾山前山の東高尾山稜の一部で、案内川と初沢川にはさまれ、高尾駅一帯から高尾山・小仏城山・小仏峠を眺望できる標高256.2mの里山です。金比羅山の地質は高尾山や初沢山と同じ堆積岩の小仏層群（約6,500万年前）に属する砂岩・粘板岩でできています。金比羅山は八王子市高尾町と初沢町にまたがりますが、江戸時代には武蔵国多摩郡上椚田村、1871（明治4）年から1893（明治26）年には神奈川県多摩郡上椚田村、1893年から1954（昭和29）年には東京府南多摩郡浅川村に属していました。
の民謡で有名になり、町人・百姓の金毘羅社参りが盛んになりました。高尾山の一角、上長房村金比羅見晴台にある金比羅社は、江戸時代後期に信心深い村民が小さな祠を建て、茶店を開いた便利のよい所で、東南方向は山川を望み、東には青い海に白帆を望めたほどの眺望のよい地といいます（植田孟縉1823『武蔵名勝図会』）。金比羅台の金比羅宮前にある歌碑には嘉永七年六月の銘があり、1854年には高尾山金比羅神社があったことがわかります。
1906（明治39）年測図八王子には、1901（明治34）年8月に開業した甲武鉄道（のちに官有化され国鉄中央本線）が浅川駅から駒木野へのびていますが、金比羅山上に神社は描かれていません。1921（大正10）年の2万5千分1地図では、中央本線線路南の金比羅山頂256.2mに社殿が描かれています。日露戦争で従軍した兵士の弾除けと戦勝祈願をした信者が、そのお礼に1907（明治40）年4月10日に鳥居や社殿覆屋などを増築しました。 また上椚田村原宿に代々居住してきた八王子千人同心第10代石川源助の日記に、次の浅川金比羅社の記録があります。ちょうどこの村に電灯がつき、自動車が初めて通行し、世間に大水害があった1907年の夏です。
浅川金比羅神社は千葉から来た先達（行者中田幸次郎か）が中心になって八王子の信者とともに、1907（明治40）年8月に浅川金比羅神社社殿は建てられたのでしょう。
と刻まれています。江戸時代や明治時代までは、甲州街道川原の宿から南へ入って千体地蔵堂（江戸時代万治年間に設楽杢左衛門が大日如来・地蔵菩薩を安置）から、金比羅山の北裾にある鳥居をくぐって、登山道を登り尾根を東へ向かう参道と、金比羅山の東麓から住吉社を経て登る参道の2通りがあったようです。住吉社は金比羅社の東側の尾根筋標高215mにあり、高乗寺の所有林です。
住吉社は金比羅山中腹から1966（昭和41）年に高乗寺境内の初沢山腹に、山王神社とともに合祀されました。現存する石祠には「住吉大明神 元治二年四月 高乗寺三十世道致実田大和尚建立」とありますから、江戸時代後期1864年に建てられた神社ということになります。金比羅神社、住吉社ともに金比羅山中にあって、150年以上も信仰の対象になっていたわけです。 金比羅山は「迷児ヶ峰」と呼ばれ、ここで迷子を呼ぶと必ず帰ってくるといわれてきました。金比羅神社が建つ「迷児ヶ峰山頂の眺望はすこぶる良く、夢のごとくに展開する八王子平野を一望のうちに収めうる」と、当時の景観を昭和初期に狭間の高楽寺に住んだ八王子史談会の郷土史家は述べています（逸見敏刀1928『多摩御陵の周囲』）。この1927（昭和2）年2～3月に大正天皇の葬儀と新たに設けられた多摩御陵への参拝20万人が行われて、八王子と高尾山の観光は空前のブームとなりました。同年1月には高尾登山鉄道がケーブルカーの営業が開始されました。1930（昭和5）年東八王子駅―高尾橋間の甲州街道に武蔵中央電気鉄道の路面電車が開通して、多摩御陵・高尾山の観光が便利になりました。「高尾山名所図絵（1923年）」にも、「多摩御陵高尾山名所案内図絵（1927年）」にも、名所の一つとして浅川金比羅社は図示されています（八王子市郷土資料館2006『案内図にみる多摩陵・高尾と八王子』）。
住吉社があった北東部から金比羅山西斜面の御室社にかけて、全部で8ヵ所の竪堀と2ヵ所の平場、腰郭とみられる平場が確認できました。金比羅神社北斜面登山道に沿った竪堀（竪堀4）は幅5m深さ2m長さ30mで、北斜面に傾斜と直角の放射状に断面V字形に掘り込まれた遺構です。住吉社跡の北東腹から神明神社上の西斜面にかけて南浅川側の斜面にのみ確認できました。住吉社があり今はコンクリート製祠がある金比羅山東尾根筋標高215mには平らな帯状の地形があり、腰郭とみられます。60㎝の平石が埋まっており、椚國男氏が八王子城跡にもある指揮台石と判断した、人工的な遺構です。 浅川金刀比羅神社の立つ山頂は径30m位の平場に整形され、山腹は掻き下ろされて主郭として、三和団地北西の標高244ｍの尾根筋も掻き下ろされていて、三和団地西側の峠から御室社へ下る道へ続いています。この西郭は小仏峠から古甲州道を見通す展望のよい地で、物見櫓か烽火台の役割を果たしたと思われます。 金比羅山遺跡（金比羅山砦）は金比羅山頂（標高256m）から山裾標高180mにかけて、東西650m×南北250mの範囲で、竪堀8、堀切1、郭4ヵ所で構成される中世城郭遺跡です。遺物は採集されていませんが、竪堀が作られている点から戦国時代（15-16世紀）の比較的小規模な砦跡と考えられます。 竪堀は、斜面と交差して放射状に掘られたＶ字形の堀で、戦国時代に北条氏照が築造した八王子市滝山城跡にも、武田氏が築いた甲府市要害山城跡にもみられる戦国時代の遺構です。 当時八王子や南武蔵は小田原に本城を置く北条氏照が支配していました。 1569（永禄12）年甲斐の武田軍が初めて小仏峠を越えて攻め入り、滝山城の北条軍と交戦した十十里（とどり）合戦が起こりました。武田軍の小山田信茂は騎馬兵200歩兵900人で廿里（とどり）砦に布陣し、滝山城から迎撃した横地監物・布施出羽守の北条軍勢は騎馬兵300歩兵2,000人。しかし山岳戦に慣れた武田軍は「鳥雲の陣」の戦法をとって優勢に展開し、北条軍の首251を討ち取ったと伝えられます。十十里合戦で敗れ小仏峠側を防衛する必要を感じた北条氏照が、1569～1582年頃に南浅川筋の初沢城を修築して、さらに廿里砦に対応する金比羅山に、小規模な砦の郭を築き竪堀を掘って、初沢城外郭の防衛施設をつくったものと推定されます。 その後1590（天正18）年6月23日に八王子城は豊臣秀吉・前田利家・上杉景勝の軍勢によって落城し、北条軍城兵1,000人は戦死し、その後小田原城攻めによって戦国時代は終わります。
なお『東京都の中世城館』（西股総生2013）では、
と消極的判断をのべています。しかし浅川地下壕ロ地区の地下壕は標高210m以下につくられており、尾根から放射状の堀は必要ありません。たしかに金比羅山東端のこんぴら小路入口には、岩盤を削ってつくられた幅5m以上の切り通しがみられ、地下壕構築の作業道の一部とみられます。竪堀や堀切は近代の軍事施設の一部や林業施設である可能性はまったくなく、西股氏の批判は当たりません。
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それは、次のような伝説に由来する。その昔、源頼朝が大軍勢を率いて奥州藤原氏の征伐に向かった折、途中飲み水を求めてこの地に立ち寄った。折悪く旱魃のため飲み水に困窮し、頼朝自ら弓の本筈で地面に穴を穿ち、水を求めたところ、七度目でようやく水が湧き出した。水の出を「今や遅し」と待ったので「遅の井」と名付けた。 善福寺で生まれ育った私にとって、この伝説は幼い頃からとても馴染み深いものだった。こどもの頃は、何の疑問も抱かず、頼朝公のような有名な人物がこの池に来たとは凄いなあ…などと思っていた。 しかし、大人になって、この池の歴史に関心をもつようになってからは、この「遅の井伝説」に対しては、「頼朝と鎌倉幕府は、武蔵野三大湧水地の聖なる水を自らの売名行為に使ったのでは？」といったイメージを抱くようになった。と同時に、「遅の井」にはもっと別な意味があるはずだと考えるようにもなった。 善福寺の池には、別の伝説もあった。私は、池から歩いて５分ほどのところにある地元の小学校（桃井第四小学校）に通っていたのだが、当時は夏休み期間中にも「登校日」があった。そのとき、教頭先生から聞いた次のような怪談話を通じて、初めてその伝説を知った：
以来、私は善福寺池の「河童伝説」と信じるようになった。池の周りで遊んでいるときにはフト、河童の気配を感じたり、その声を聞いたような気になった。そのため、河童には妙に親近感を覚え、大人になってからは、八代や遠野など、全国各地に「河童の音風景」を訪ねるようにもなった。
＊ 安藤さんはまた、その著書のなかで、サルやカエル、カメなど、河童のモデルとなったいくつかの動物のなかで、一番カッパらしい生き物がカワウソであると述べている：
ニホンカワウソは、明治時代までは日本全国の水辺に広く生息していたが、1979年以来目撃例が無く、2012年に絶滅種に指定された。善福寺の池とその周辺で、カワウソたちがその声だけでなく、元気に泳ぐ音、魚を追って潜る音、ヒタヒタと歩く音…さまざまな音を発していたのは、果たしていつ頃までだったのだろう？ 河童の声や歩く音は、つい最近まで、架空の世界のものだった。それが今、私のなかで「カワウソの風景」と繋がり、不思議なリアリティを獲得しつつある。
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小さな高尾山だが分水嶺として見れば、南側は案内川、北側は小仏川になり、合流地点は、どこにもある地名で落合だ。逆に街道が分かれる所が追分で、各地に地名として存在する。裏高尾の西の終点、小仏峠は大きな分水嶺にあり、西側は相模川、東側は多摩川に合流する。 明治天皇は日本各地を巡幸したが甲州街道上の小仏峠は馬で登った。峠の東はずれには「明治天皇御野立所」の大きな石碑が立っている。御野立所とはそこから遠くの景色を眺めた所だと思うが、子供心には、明治天皇が立小便した所としか読み取れなかった。 中里介山の「大菩薩峠」の始まりの部分、「昔尊き聖が、東に流れる水も清かれ、西に流れる水も清かれと言って、小さな菩薩を埋めた」とあるが、まさに分水嶺で東は多摩川、西は笛吹川をへて富士川になる。この周辺は関東山地で、最高点の峰々は標高2,500mを超える日本で4番目の大山脈、その支脈の一部が東南に延びた末端の高尾山だ。 |
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2014年 1月号（306号）
むさゝびの声
（H・良仁） |
●12月30日（月）晴れ 9:30am～
数日前の雨が地面を濡らし、林道は霜柱がザクザクと心地よい音を響かす。無風なので寒さは感じられず、山歩きには心地いい冷気だ。林道終点から山の細道に入ると、葉を落としたイイギリの果実がよく見える。昨年は実をつけなかったので1年おきか。吉山さんは、野鳥たちの食用になると教えてくれた。 1号路の急カーブ地点左奥にある布流滝の流量観測場所は、沢があって死角になるため、マナー知らずの排便が多い。Ｙさんからも報告され、看板の設置を検討しなくてはならないが、逆効果も…。不愉快極まりないが今日も大きな石で隠す。 流量… 3.2リットル/分 伏流場所は上流32m地点。 滝上の水場は一面に霜柱が立ち、水場の存在を知らせる。冬場の日中はほとんど陽がささず、霜は高さ1cm程の厚さが3～4重に積み重なっている。 トンネル開通まで、国交省は布流滝上の水場そばの自動降水量計データを発表していた。昨年10月10日の相武国道事務所との交渉時、No.9の地下水位観測孔はバッテリーで作動させ、月1回データを回収、供用後も高尾山環境保全の観測体制は続行していると言った。 データを情報開示請求すると、相武国道事務所のホームページに12月6日から1ヵ月遅れで発表し始めた。降水量は記載しないとしていたが、最終的に市立浅川小学校の降水量データを載せた。データは数字のみで、米田さんが解析してグラフ化したところ、No.9の地下水位は過去最低値であったことが判明した。高尾山の年間降水量は平地よ200～300mm多い。2010-2013年（清滝）平均降雨量は1,871mm。 情報開示文書はCD-Rで依頼し12月25日に届いた。コンサルタントは八千代エンジニヤリング㈱で、報告書は15ページ。地下水位の低下は雨量の少なさを理由にして梅雨時には回復するだろうと推測しているが、雨量観測場所が違うなど問題点が多い。
高尾山には年間300万人の来訪者がありマナーの悪いものも多い。 妙音谷の湧水…0.8リットル/分 琵琶滝坂…0.26リットル/分 祠…0.02リットル/分 → 要注意状態近づく 高尾山トンネル口＆トラスト地 稲荷山休憩場から下り、高尾山インターチェンジ上の展望場所に着くと収用された2513番地の沢に降りる仮設階段が大部分撤去されていた。壁面の上部から湧水が流れ出ているが、下の水抜きからはほとんど出ていない。トンネル内の湧水量は測定しているはずだが、発表はしない。 12月27日、「2513番地への遊歩道（迂回路）は、八王子市が危険があるとして待ったをかけている」との電話が相武国道事務所からあった。年明け、八王子市路政課と設置や稲荷山休憩所からの遊歩道整備に関し、市の見解を確認していくことになる。
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伊藤祥子さんの投稿に反響（続）
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憲政史上初！
福岡高裁開門判決および国の上告断念の決断は、長年の漁業被害に苦しむ有明海の漁業者はもちろん、諫早湾干拓事業への公金支出に反対してきた長崎県民、また、公共事業による環境破壊に苦しめられてきた全国の公害環境問題の被害者たちに歓迎をもって受け入れられた。上告断念を決断させた背景には、有明海の再生を願う国民世論があったことは明らかである。われわれは、長年にわたる諫早湾干拓事業をめぐる諍いに終止符が打たれると期待した。 しかし、福岡高裁判決に基づく開門義務の履行期限の2013年12月20日を迎えたが、国は、開門を実施しなかった。 開門義務を履行できなかった原因のすべては国にある。国は、福岡高裁判決を受け入れた後も、有明海の漁業被害を一切認めなかった。そのため、開門が持つ意義を長崎県や諫早湾干拓地及び周辺地域の営農者に理解させることができなかった。その上、国は、3年もの期間を与えられていながら、農業者らに対する農業被害防止対策を怠ってきた。その結果、開門によって農業に被害が出るかもしれないとの農業者らの不安感を払しょくできず、農業者と漁業者との対立を招くに至った。
この間にも、有明海の漁業者は、漁業被害に苦しんでいる。苦しい中、歯を食いしばって漁に出て、怒りを堪えている。
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東京最東端の江戸川下流、江戸川区北小岩の80戸ほどの家並みの小さな町で、事業は再開しました。完成する堤防の長さは、わずか120mで事業予算は47億円です。 事業に納得できない住民11人（当初）が、2011年11月11日に、スーパー堤防事業のために進めている江戸川区の土地区画整理事業は違法であると主張し、訴訟に踏み切ってから2年余、2013年12月12日の東京地裁判決は、スーパー堤防事業についての判断を全く行わないまま、行政の言い分を丸呑みした原告側訴え「棄却」となりました。
高尾山の自然をまもる市民の会をはじめ、公共事業改革市民会議など多くの団体の皆様の日頃からの熱いご支援に心から感謝してこの報告を終わります。 （2013年12月30日記） |
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IPCC（気候変動に関する政府間パネル）は第5次報告（第一作業部会「自然科学的根拠」が2013年9月）で、「対策なし」では気温上昇が世紀末に産業革命前から5度以上になるとする可能性を指摘した。原発もない、地球温暖化の悪影響も回避する対策強化が求められる。日本でも2012年7月の電力買取制度施行後、太陽光発電が増加した。他の自然エネルギー電力の増加が小さいのは送電網を握る電力会社が抑えつけている影響と見られ、自然エネルギー電力の優先接続政策や発送電分離政策などが必須になっている。 経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会は、2013年12月13日にエネルギー基本計画への意見案（改訂案）を示した。原発再稼働が見通せないとして数字の明示を避けているが、原発・石炭という環境破壊やリスクの大きなエネルギーを重視する方向性は明らかである。 原発は事故にもかかわらず「優れた安定供給性」（今は全停止）、「運転コストが低廉」（政府のコスト等検証委員会は原発が安いとは言えないとしていた）、「重要なベース電源」と位置づけた。国内原発は「再稼働を進める」とし、核燃料サイクルも「着実に推進」、原発輸出も進めるとしている。
自然エネルギーは、普及政策の柱である固定価格買取制度について「そのあり方を総合的に検討し、その結果に基づいて必要な措置を講じる」と、廃止もあり得るとしている。自然エネルギーの導入目標も示されていない。 省エネについても、火力発電所の高効率化への姿勢が不明、電力に次いで消費の大きい工場についても「既に世界最高水準」という考えに立ち、今までのように民生・運輸の対策中心で、あまり大きな削減を見込まないように見える。 原発の是非やエネルギー政策への意思決定で重要なことは、2012年の国民的議論の結果であり、この議論をまったく無視している。また、原発事故による行政不信については「理解を得る」とし、「国民各層の理解の増進」として国からの情報提供、エネルギー教育の推進など国からの発信が挙げられ、意思決定への国民参加については最後に「双方向コミュニケーション」としてわずかに触れられているだけである。 今回の改訂案は環境破壊やリスクの大きい原発や石炭火発重視で、環境や安全の客観的情勢や、国民的議論で示された国民世論と逆行するものである。計画改訂案は12月6日から１月6日までの1ヵ月のパブリックコメントの後に閣議決定され、原発再稼働や石炭火発の環境アセス緩和を目指す動きも予想される。一方、地域では意識的な省エネが進み、自然エネルギーの担い手が増え、自治体も地域のエネルギー政策を考え、原発事故前の状況とは大きく変化している。環境・安全重視で、地域の産業・雇用を育てる未来を国民が選択する方向への運動が求められている。
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２月の大雪では連日の雪かきで腰痛を再発させてしまった。雪が積もった高尾山や小仏峠辺りに久々に行ってみたくなったが、家の中でさえ「あ痛たたたぁっ」と不本意な叫び声をあげて歩いているようでは、そんな野望の成就は夢の夢。
北西部幹線道路とは
また新しい年がめぐってきました。政治も司法も戦前に回帰するような逆流に押しまくられた昨年でしたが、平和と正義を求める声は止められないし、それを願う人は圧倒的に多数なのだから、きっと歴史は変わっていきます。お正月に好んで飾られるナンテンは、前掲の短歌のように冷気にあたるほど赤みが強くなり、また「難転」とかけて、災いを幸運に転ずるという俗信があるとか。今年はナンテンの年にしなくては。