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2014年 12月号（317号）
むさゝびの声 （H・良仁） |
（１０） 自動車道は巨大な雨樋のようなものだ。現在、中央自動車道を洗い流す雨水は、タイヤの粉塵に汚染されて小仏川に注いでいる。圏央道はそれに拍車をかけ川は危殆に瀕するだろう。住民の洗濯物を黒く汚す粉塵は、年間3万屯をこの谷に降り注いでいる。 長いあいだ山を忘れていた住民は、荒れた山を思い出した。トンネルは水脈を断ち、温帯暖帯を尾根で分けた豊かな高尾の植物相も滅ぶに違いない。たまりかねた自然保護団体は、裏高尾の住民とともに数度のシンポジウムを開き、自然観察会を精力的に行った。「高尾を守れ、自然を守れ」の声は燎原の火のように広がった。 裏高尾の猪ノ鼻山や小仏川の流域は植物が豊富だ。他には見られぬものも多く、貴重種といわれるような植物、例えばハルニレ、ムクロジ、ミツバツツジ、スノキ、カワチハギ、ウラシマソウ、タカオスゲ、なども発見されている。中央自動車道が出来る以前とは比ぶべくもないが、それでも野鳥の群れが渡ってくる。数多くの昆虫も見ることができる。流れには、イワナやヤマメ、サワガニが生き残っている。いまなら、自然の回復も可能なのだ。 「八王子自然友の会」では、本格的な植物調査を開始した。
【了】
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高尾山麓の多摩御陵参道の「白い画廊・ポラン」で開いた“「高尾山が好き」展・ファイナル―未来につなごう高尾山の自然”は、150人を超える方々においでいただき、成功のうちに終了することができました。文化の日を含む３連休は、お祭りや学園祭、地域の文化祭などと重なり、また10年に一度の当たり年という紅葉の見頃とあって、1週間前か後ろにずれていればという声も耳にしましたが、来たかったのに来られなかった方、ごめんなさい。
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ヤナギの仲間は北半球に分布し、最も種類が多いのは中国で、300種ほど、次いで北米に多い。日本では30種以上知られている。このうち5種は高山植物で、絶滅危惧種に指定されている。ヤナギ類は環境保全の上でも有用な樹で、水質浄化、流路の護岸、急速緑化、休耕田の維持（葦の侵入防止）、さらには蛍の拠り所という思いもよらない有用性がある。ヤナギは原則として雌雄別株で、奇形として同株があり、その表現のしかたは色々ある。 ヤナギは、植物愛好家の対象としては敬遠されているほうである。理由は、種が多いこと、花が極めて小さいこと、葉と花が同時に観察出来ないこと、雑種が多く図鑑にも掲載されていないこと、などが挙げられる。なぜ私がヤナギを調べているのか尋ねられることがあるが、「他の人が研究していないからだ」と答えることにしている。 日本のヤナギの雑種を最も多く発表されたのは、東北大学名誉教授の木村有香博士（故人）で、生前には私も何度かお会いしてご教示を頂いたことがある。市民の会の会員で、地質関係のことで天狗裁判でも大きな力添えを頂いた坂巻幸雄氏にとって、木村博士は義父に当たる方だ。何かの偶然というにしては縁を感じる。 日本産のヤナギの雑種で正式に認められているのは40種である。数学的には30種のうちから2種の組み合わせは435通りあるが、実際には全ての組み合わせの雑種ができることはない。分布が地理的に離れていたり、花期がずれていたり、染色体の相性が悪いなどで雑種が成立しないものが多い。 私が発見した新雑種の１番目は、オノエヤナギとコマイワヤナギとの雑種である。上高地の入り口にある坂巻温泉のそばで発見したためサカマキヤナギの名で植物研究雑誌にレポートを掲載した。今回発表した２番目の新雑種は、八王子インターチェンジの近くで20年も前に発見したもので、新雑種の名前は両親の種名からイヌバッコヤナギとした。
学名の決め方には万国植物命名規約（国際植物命名規約）というものがあり、ラテン語の文法に則った形でなければならない。ラテン語の名詞には男性・女性さらには中性の属性があるが、植物名は女性として扱うことになっている。学名は Salix ×hachiojiensis YOSHIYAMA である。意味は単に「八王子産のヤナギ」で、×印は雑種であることを示す。末尾は命名者の姓名である。 なぜ和名に八王子をつけなかったか。それは他の地でも発見される可能性があるためだ。学名にhachiojiを入れたのは、海外の研究者にも八王子を知らしめたかったからだ。この研究雑誌は英文で書かれており世界中の人が読むことができる。 前記のサカマキヤナギの際は、中国の研究者が全文を送って欲しいというメールをよこしてきた。英文で書かれるこの雑誌の意義がわかった。現在も新雑種の候補と思われる株を育てている。雑種の研究をまだまだ続けてゆきたい。 ［?写真とイラスト：雪子・Ｆ・グレイセング］ |
草むらに入るとたちまち衣服にくっついて来る「ヒッツキ虫」たち。アメリカセンダングサやコセンダングサ、チカラシバ、キンミズヒキ、ノブキ、イノコヅチ、ヌスビトハギなどの実やタネです。 風が吹くとくるくる舞い散るカエデの仲間のヘリコプター。ふわりふわりと気持よさそうに飛んでいる綿毛は、道端にあったアザミの仲間かな、それともちょっと遠くから飛んで来たガガイモのタネかな。キジョランやテイカカズラのタネも大きな綿毛で旅立ちます。皆がよく知っているタンポポなどのキク科植物のタネは、この飛行家が多いですね。 ドングリの仲間のようにポロンと落っこちて転がっていく実があるかと思うと、誰かに食べられて、肥料（ふん）と一緒にどこかで落としてもらおうと枝先で待ってる実もあります。「赤く熟れる小さな丸い実は、鳥たちに食べてもらってタネを運んでもらうため」と書いてある本もあるくらいです。ガマズミやナンテンはその例。赤い実でないけど、ヤドリギ、ムラサキシキブなども同じです。 その他、フジやマンサクの実のように、自力ではじけて鉄砲玉のようにタネを飛ばす植物もあります。 こうしてみると、それぞれの植物たちは、ほんとうにいろいろなやり方で仲間を増やす努力をしているのがわかります。寒さを迎える中で、命を受け継ぐためにタネたちは旅立つのです。 翻って、私たち。戦争前夜のような重苦しささえ感じる厳しい時代にさしかかっていますが、一人ひとりがそれぞれのやり方で仲間を増やし未来を切り開く努力をしなければいけませんね。ひたむきに、したたかに生きる高尾山の命たちに学びながら。 寒風の中で…市民の会も新たな旅立ちの時、を迎えます。 |
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2014年 11月号（316号）
むさゝびの声
▼九州佐賀県玄海町の新雅子さん宅を訪問しました。お訪ねするのは２度目になります。玄海原発訴訟を起こす直前にもお邪魔しました。その時の訪問がきっかけでむさゝびも玄海原発訴訟団の一員になりました。今回の訪問の目的は、玄海訴訟を提起した後の玄海町住民の意識変化や原発立地自治体である玄海町政の動きを当事者の住民の皆さんとお会いし意見交換することでした。 ▼「よみがえれ！有明訴訟」の弁護団長である馬奈木昭雄弁護士や川辺川利水訴訟弁護団長を務めた板井優弁護士は、「どんなに正義や大義を掲げてもそれだけで勝利することはできない。力のある正義をどう実現させるかが課題である」と問題を提起します。むさゝびは最近この提起に拘っています。原発立地自治体で原発を撤去させ原発に依存しない町政を実現させる正義の力がどれだけ育っているかを知りたいと思いました。 ▼現実は、生やさしいものではありませんでした。原発マネーは玄海町財政の7割近くを占め、12人の町会議員の中で原発に反対できるのは共産党の藤浦議員ただ一人。6000人の町民の中で、人前で公然と原発反対と発することができるのは、むさゝびの目の前にいる78才の藤浦議員と82才の仲秋和尚、そして元小学校教師の新さんの3人だけだといいます。彼らは異口同音に、「全国どこの原発立地自治体でも共通しているのは、無知と貧困」だと言います。原発がある、原発の存在そのものが民主主義を破壊しているのです。そんな中で、反原発の旗を高々と掲げて奮闘している三人の老人に大きな尊敬の念と感動を覚えました。 （H・良仁） |
以下の拙文は、1986年2月、氷点下8度にもおよぶ裏高尾町の厳寒のさなかに書いて、『圈央道反対同盟報』に連載したものである。本日は、渦中にいる住民の一人として発言の機会を与えられたが、限られた短い時間である。
【以下次号】
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おわかれパーティが語るもの
天狗裁判原告団団長で樹木学者の吉山寛さん、弁護団の鈴木堯博さんと関島保雄さん、そして事務所を提供された峰尾章子さんには、高尾山の動植物一同からの感謝状が天狗様から贈られました。浅川金刀比羅神社宮司の奥田靖二さんは得意のマジックを披露し、小川和隆さんのギターはバッハから古賀メロディーまでを高尾の森に響かせました。 「高尾山の自然を守る30年におよぶ運動は厳しいけれど、楽しいものでした」と橋本さんはいつも言います。そこには、運動を通した人の輪の広がりや人材が育ったこともあるのでしょう。おわかれパーティは、まさにそのことを如実に示すものでした。 参加された方々のスピーチは、それぞれが素晴らしいものでしたが、紙幅の関係で多くは紹介できません。このパーティにとてもふさわしいと思ったジャーナリストの辰濃和男さんを紹介します。辰濃さんは、2005年4月、三大紙に掲載した「高尾山は泣いている」の意見広告の呼びかけ人の一人であった劇作家の木下順二さんが、「本当の静謐の中からこそ本当の文化が生まれるということの意味を、高尾山を登りながらつくづく感じた記憶が今も鮮やかです」と述べられたことを紹介され、そのことの事例として、ご自身の体験を話されました。フランスの森の静けさの中にある香水会社から生まれる香りの文化やニューヨーク特派員として最後の仕事で取材された最も優れた教育を実践している森の中の学校についてです。学校の先生は、教育目標は「子どもたちが大人になったとき、政府のやろうとしていることが正しいか否かを自分で判断できるようにすることであり、そのためには静謐な環境が必須である」とはっきり述べたということです。 辰濃さんのスピーチを含め、おわかれパーティが語るものは、自然を守ることの尊さと、そのことの困難さ、そして、それを乗り越える闘いを通じての未来への確信にほかなりません。市民の会の長い闘いの珠玉の成果は永遠のものであることを胸に刻んで裏高尾を後にしました。
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無駄な道路建設を止めさせようと活動している全国の仲間が一堂に会して、経験交流や意見交換を行なう道路住民運動全国連絡会の40回目の交流集会が、横浜市港南台の「あーすぷらざ」で10月11～12日に開催され、41団体211名が参加しました。
11日の報告は、 １）横浜環状南線、 ２）東京小平3・2・8号線、 ３）川崎公害患者会、 ４）美作岡山道路、 ５）中部横断道、 ６）川崎国道1号線、 ７）東九州横断道路の方々です。 それぞれの現場での厳しく熱い闘いと今後の決意に満ちた報告で、参加者のメモを取る手にも力が入ります。 岡山の地域高規格道路「美作岡山道路」を考える会の山田さんは、ユーモアを交えながら、岡山県は4ルート案を提示したにもかかわらず、住民が要望したルートを選ぶことなく、勝手にルートを選定したという住民無視の行政の在り方を強く批判しました。報告の最後に、地元の幕末の聖人であった山田方谷が残した「義を明らかにして、利を計らず」の言葉をモットーに運動を続けると力強く決意を表明しました。初めての経験にもかかわらず、へこたれずに頑張っている岡山のみなさんや山梨・中部横断道のみなさんの報告は、私たちには活動の初心を思い起させる報告でもありました。また、東九州自動車道のミカン農園で50年以上生計をたてている岡本さんは、建設コストが1300億円のところ、480億円で済む代替案の山裾ルートを自ら土木学を勉強して提案しましたが、行政はこれを無視し、強制収用に向けた手続きを継続中であると告発しました。強制収用が迫るなか、福岡県知事あてに収用委員会の審査会を再開させる署名活動を行っているとして、参加者に署名の協力を訴えました。 初日夕方からは恒例の懇親会でしたが、参加者が高齢化（？）していることからか食べ物の減り方がいつもよりゆっくりしていたようです。昨年に続き日本酒を差し入れして頂いた広島のみなさん、ありがとうございました。 翌日は40回目を迎えた交流集会の柱となる日程です。 来賓として挨拶していただいた「公共事業改革市民会議」事務局長の遠藤保男さんは、ダム関係の全国組織である「水源連」の事務局長でもあります。「なぜ全国各地で無駄な公共事業が止まらないのか」との思いで、昨年１月に公共事業改革市民会議を立ち上げた経緯と、東京在住時にご自身が関わった道路建設計画についても言及され、参加者に熱いメッセージを送っていただきました。例年通りの的確な情勢分析を踏まえた全国連事務局長の橋本良仁さんの基調報告に続いて、参加者は学生時代に戻ったような気分で経済学の記念講演を聞きました。 「安心して暮らせる新たな日本経済をどう展開するのか」と題して講演していただいた米田貢さんは、中央大学で経済学の教鞭をとる現役の教授であると同時に日本科学者会議の事務局長の任にも就いています。少子高齢化社会の到来と現在の日本経済を俯瞰しその視点から今後の日本の社会のあり方を展望して、「支配者層の戦略に騙されてはいけない」と警告を発しました。 特別報告は、 １）一部で裁判も始め東京外環道のみなさん（外環ネット）、 ２）広島2号線判決の概要と意義（訴訟弁護団・足立修一氏）、 ３）PM2.5の現状と課題（西村隆雄弁護士）でした。
午後からは今回の交流集会のメインイベントのパネルディスカッションが行われました。午前に記念講演をしていただいた米田貢さんを始めとして、寺西俊一さん（一橋大学特任教授）、関島保雄さん（弁護士）、まさのあつこさん（ジャーナリスト）、長谷川茂雄（都市計画道路連絡会世話人）の5人のパネラーをコーディネ
イトするのは橋本良仁さんです。 金銭に置き換えられない ?１．本会の略歴
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高尾山周辺は、1959年に八王子市に合併するまでは「浅川町」であった。ご高齢の方なら、中央線の電車区間の終点は「浅川駅」だったことを憶えていることだろう。電車の行き先表示も「浅川行き」であり、高尾登山の出発点は浅川駅だった。 この駅から西は当時単線で、機関車が牽く長い編成の列車が２時間に１本の割合で、合間に１時間１本程度で短い編成の電車が出ていた。休日は山梨方面への登山者でいつも満員だった。特に土曜の夜行列車は超満員で、八王子からは乗り切れず、機関車のデッキに乗った経験がある。今の時代ではとても考えられないことだったが、当時は咎められることもなかった。
浅川駅と西八王子駅との間には、かつて「東浅川駅」という停車場があった。といっても一般客は利用できず、天皇や皇族が多摩陵に参拝するための専用駅であった。この駅が最後に華々しく使われたのは大正天皇皇后の葬送の時であった。駅からケヤキ並木には市内の小中高校生が動員されて参道に整列し、霊柩車が通るときに最敬礼で見送った。 なお東浅川駅舎はその後八王子市に払い下げられたが、象徴的な建造物であったためか過激派によって爆破され、今は形を留めていない。参道のケヤキ並木は大きく育ち、今は車のドライバーの昼寝の場所としても大いに活用されている。 行政上の浅川町は消えたが、町丁単位として東・西・南のそれぞれを冠した○浅川町という地名は現存している。北がつくものはないのかと聞かれたので、「キタナイ」と答えたことがある。川の名には「北浅川」があり、八王子市元本郷町で支流の「南浅川」と合流して「浅川」となる。 一般的に川の本流は、合流点からみて最上流までの距離が長いか、流域面積が大きいなどの点から選ばれているが、北浅川が本流である。そのため北浅川の川岸には行政上の名前を示す「浅川」と書かれた表示板がある。正式には北浅川は無いということになるのだ。 高尾山の麓を流れる南浅川は、高尾山口からの案内川、裏高尾からの小仏川の２つの支流から成り、その合流点の地が「落合」となっている。この地名は全国によくある。 小仏川の源流は影信山の北西から始まる木下沢にある。案内川の源流は小仏城山の南西にあり、大垂水峠をかすめて流れている。もし大垂水峠の高さが少しでも低くなると、源流の水は相模川に落ちるというぎりぎりの状態にある。このようなことが実際に起こった地形は、「河川争奪」と呼ばれているが、全国にもそんなには分布しない珍しいものである。高尾山の周辺には、このほかにも木下沢源流付近には同様に谷底が分水嶺と接している地形があるから、地形図を読んでみてはいかがであろうか。高尾山周辺にはよく観察するとおもしろいことが多々ある。 |
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2014年 10月号（315号）
むさゝびの声 （H・良仁） |
祖母は、馬で神奈川から嫁に来たそうです。今でも、祖母の長女のお雛様を飾ると、皆が写真を撮りに来ます。100年以上前のお雛様が珍しいようです。母が嫁に来たときは、摺差も少しは開けて、国鉄の浅川駅から人力車に乗ってきた、と聞いています。 私は、昭和13（1938）年ころから、戦争に行きました。昭和20年終戦直前に除隊になって、軍服のまま家に帰ってきました。以来、摺差地区で、家業を継いで、生活しています。 子どものころは、養蚕が主体でした。冬には、薪を取ったり炭を焼いたりする山仕事をしました。戦後は、農業に切り替わりました。酪農と水田と麦などです。私は、今でも毎日野良に出て仕事をしています。私のところで穫れるソバは、量こそ少ないものの、味がいいと評判で、収穫前から予約がくる有様です。 摺差地区は、狭い谷間の集落です。集落の人たちは、ずっと昔から皆さん顔なじみです。誰それは誰それの仲人さん、誰それと誰それは仕事場の同僚、誰それと誰それは学校が一緒などなど、集落全体が親戚のようなつきあいでした。 本年まで、20年間、請われて、小学校の生徒らに、水田教室として、田起こし、稲刈り、脱穀、籾摺りなど米になるまでを見せて教えていたことがありました。酪農教室もやりました。小学校6年生に、中央道・圏央道と行政の話をしたこともありました。夏の集会などで歌われる合唱曲「高尾山 私のふるさと」は、私の家で、亡き母の語りで数人集まるうちに出来ました。子ども達に、地域のことを知り、愛し、地域の一員である意識を持ってもらいたいと願っています。
現在計画されている圏央道の排気筒は、高さ30メートルぐらいと聞いています。接地逆転層の実験から見ると、そんなものではとても低いと思います。最低でも煙突は山の高さぐらいにしなかったら、意味がないでしょう。谷間には汚れた空気が淀むのではないか、と心配でなりません。 私どもの集落に覆い被さるように建設されている橋を見ますと、自分の体に異物を挿入されたような、切り裂かれたような痛みを覚えます。とんでもなく悪趣味な構造物だと思います。梅が咲き、川遊びができ、秋には収穫を祝い、天気のいい日は軒下で漬け物をお茶請けにして皆で茶飲み話をする。そんな生活、集落の共同体の存在より、あの構造物が文化的なのでしょうか。橋脚のような構造物は、またどこにでも作れるでしょう。その技術はあっても、私どもの歴史、風土、生活を再現する技術はどこにもないと思います。 今はもう、全国の方々で赤字路線ばかり作ることから卒業していいときだと思っています。道路を作るより税金を安くしてくれ、という時代じゃないでしょうか。私のところは、梅林も田圃も、圈央道予定地だからという理由で、20年間も宅地並課税されています。国が勝手に道路予定地にすると、実際は農地でも、高い税金を取られるという制度も、随分おかしなものだと思っています。 ４．集落が消えてしまう
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上 申 書
私たちは、国道2号線の高架延伸工事は止めていただきたいのです。高架道路ができると広島市内に流入する車両が増えます。そうなると騒音、排気ガスや粉塵は増えることになります。増やさないためにも、国道2号線高架延伸工事を止めてほしいのです。
国道2号線と並行して走る広島南道路の市街地域が今年3月に完成し、さらに廿日市・海田までの整備計画もあります。この道路は有料の高架道に並行して無料の一般道路も高架下に整備されています、これが開通したので2号線の渋滞も緩和されていると思います。 これからは日本の人口が少なくなるという予測になっています。高齢化社会も進んできます。車の保有量もだんだん少なくなってくると思います。高架道路が延伸すると、高架下は日陰となったり、交通量の増加のため騒音や排気ガス・粉塵が高架下に降りてきて、ますます環境が悪化します。自動車の販売は減少し走行する車両台数も減少してきています。逆に、高齢化による福祉予算は増大し、既存の道路や橋脚、トンネルの修理などの費用負担も増大していくはずです。 こういった流れの中で、これまで通り、道路を造ることが行政や政治の中心にあるべきことではありません。
公共事業は防災・老朽化対策と福祉へ
流れを変える判決を
国道2号線沿道に住む住民も生身の人間です。街中でも住み、生活をするところです。騒音、排気ガスなどで悩んでいます。今では国道2号線沿道から次々に民家が消えてなくなっています。市内中心部での高架道路建設は、国道2号線の中央分離帯の緑地と樹木をなくしてしまいます。今でも沿線に高層ビルが林立しているなかでの高架道路建設は、さらに閉塞感・圧迫感を助長し景観を一層悪くします。国道2号線の高架延伸工事は止めて下さい。私たちの要望をお聞き下さい。よろしくお願いします。
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淀川は自然の宝庫 淀川左岸線２期事業とは
堤防の安全性に問題有
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私たちの運動の中では、さまざまな集会、学習、署名活動などと同時に、文化の活動も大事にして取り組んできました。永六輔さんのトークショー、一流の音楽家の方が力を貸してくださった音楽会、そして作品展。
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この赤いきのこが有毒な紅天狗茸なのか食用の卵茸なのか、数年前に調べたのにまた忘れた（！）ので再びポケット図鑑で見ると、柄の色やつぼの形で見分けるとある。斑紋のある茶色い柄とカップ型のつぼの形などから卵茸だとわかったが、毒々しい赤いきのこを食べるには少々勇気がいりそうだ。 実は私はきのこに当たったことがある。晩秋の夜中に汲み取り式トイレへの何往復、という寒く苦しい経験があるので、それ以来市販のきのこ以外は口にしたくない。さらに現在ではきのこの中には放射性物質を濃縮するものもあるので、注意しなければならない。だから卵茸がたくさん生えていようが、丼ほどの大きさの赤山鳥や群生した薄平茸を見つけようが、食指は動かない。 しかし、きのこや苔などを食べなくてはならない生きものがたくさんいるのだということを心に留めなくてはとも思う。ミミズだってダンゴムシだって、カエルもトカゲもヘビも、小鳥たちやネズミもヒミズもモグラも、そしてイノシシも、みんなそれぞれニンゲンより土に近い暮らしをしている。大きく噛み取られたきのこの傘を見ると、誰が食べたのかと思うと同時にニンゲンの愚行を思う。償えない罪の大きさを感じながら、償う方法を暗中模索する心は重い。それでも山を歩けばまたがんばろうと思えてくるのは有難い不思議なのだ。 |
©高尾山の自然をまもる市民の会 無断使用および複製禁止 all right reserved by "Citizens' Association to Protect Wildlife of Mt.Takao" |
私は八王子市高尾町に住み、もとは公立学校の教師をしていました。現在一市民として八王子市初沢町にある成就山浅川金刀比羅神社で神主を務めさせていただいております。
高尾山の前山にあたる通称金比羅山の造成開発計画が持ち上がり、工事着工にまで至った際、この地域の豊かな自然を守ろうと地域の人たちが立ち上がり、金比羅山上にあったお社を守るために先に神主資格を取っていた２人に続いて私も資格を取りました。月々の行事や祭事を行い、多くの参拝者が訪れ信仰の場としても見直されるようになった金刀比羅神社と地域の人たちの運動が実り、工事は中止されました。
